*重要教育資料入門*『児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議(平成29年3月19日)
-2019.7.12-
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▼児童の虐待について深刻な状態が続いていることを
受け、児童虐待防止対策のための制度改正や、緊急総
合対策をはじめとした関係閣僚会議における決定等の
これまでの取組の実施について、改めて徹底するとと
もに、児童虐待防止対策の抜本的な強化を図るために
決定された対策です。学校に関する部分は少ないので
しっかりと理解をしておくことが望ましいです。
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1 子どもの権利擁護
①体罰禁止及び体罰によらない子育て等の推進
・体罰禁止について法定化する
・体罰によらない子育てを推進するため、体罰の範囲
や体罰禁止に関する考え方等について、国民に分か
りやすく説明するためのガイドライン等を作成する。
これと合わせ、体罰や暴力が子どもに及ぼす悪影響
や体罰によらない子育てに関する理解が社会で広ま
るよう、啓発資料「子どもを健やかに育むために~
愛の鞭ゼロ作戦~」などを活用し、普及啓発活動を
行う。体罰禁止に関する考え方等を含めこうした普
及活動については、子育て世代包括支援センターや
乳幼児健診の場、子育て支援拠点、保育所、学校等
も活用して行う。また、保護者としての監護を著し
く怠ることは、ネグレクトに該当することを踏まえ、
子ども(特に自分で危険を判断し対処することの出
来ない年齢の子ども)を自宅や車内に放置してはな
らないことを母子手帳や乳幼児健診の機会などを活
用し、周知する。
・民法上の懲戒権の在り方について、施行後2年を目
途に必要な検討を進める。
②児童相談所における子どもの安全確保に関する業務
の明確化
―(略)―
③児童福祉審議会における意見聴取の際の子どもへの
配慮義務など児童福祉審議会の活用促進
・児童相談所が子どもの権利を守っていないと考えら
れるときや、子どもの意向が児童相談所の対応と一
致しないときは、子ども自身や関係機関が児童福祉
審議会へ申立てを行うことができることについて、
周知徹底を図る。
・児童虐待を受けた子どもや要保護児童が、行政処分
等に不服がある場合に、自ら児童福祉審議会に申し
出、児童福祉審議会がその申し出を受けて、調査審
議し、児童相談所に意見具申を行う仕組みについて、
ガイドラインの作成、全国展開に向けた取組を進める。
・児童福祉審議会において、子どもに意見聴取する際
に子どもの状況や環境等に配慮するものとする旨を
定める。
④子どもの権利擁護の在り方に関する検討
・子どもの権利擁護のため、子どもの保護及び支援に
当たって、子どもの意見表明権を保証する仕組みに
ついて、施行後2年を目途に必要な検討を進める。
・このため、まずは里親等に委託されている子どもや
児童養護施設等に入所している子ども等の意見表明
権を保障する仕組みの在り方について検討を行い、
モデル実施を行った上で、速やかに全国展開に向け
て必要な取組を進める。
・一時保護その他の措置に係る手続の在り方について、
施行後1年をめどに検討を進める。
2 児童虐待の発生予防・早期発見
①支援を必要とする妊婦への支援
―(略)―
②乳幼児健診未受診者、未就園、不就学等の子どもに
関する定期的な安全確認
―(略)―
③地域における相談窓口や子育て支援拠点の設置促進等
・妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を提
供するため、子育て世代包括支援センターの2020年
度末までの全国展開に向け、設置に向けた支援を拡
充する。その際、新生児の訪問指導や乳児全戸訪問
事業等と連携して支援している事例などの好事例を、
全国で共有していく。
・子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援
拠点の一体的運用ができるよう、要件の明確化・支
援の拡充により、母子保健分野と子ども家庭福祉分
野の連携を強化し、切れ目ない支援を行うことがで
きる体制整備を図る。
・子育ての孤立化を防ぐため、子育て中の親子が気軽
に集い、相互交流や子育て支援拠点の整備を引き続
き着実に進めるとともに、その利用を促進する。
④相談窓口の周知・徹底
・児童虐待を受けたと思われる子どもを発見した人が
速やかに通告できるよう、児童相談所全国共通ダイ
ヤル「189(いちはやく)」について、広く国民に
認知され、活用されるよう、更なる周知・啓発に積
極的かつ強力に取り組む。併せて、通話料の無料化
を図ることにより、利便性の向上を図る。
・児童相談所全国共通ダイヤル「189」について、虐
待通告の受付を中心とし、それ以外の相談と番号を
分けるよう見直し、虐待通告への対応を迅速にでき
るようにするとともに、相談等にきめ細かく対応で
きるようにする。
⑤相談・支援につながりやすい仕組みづくり
・若い世代が電話よりもSNSでコミュニケーションを
取ることが多いことを踏まえ子育てに悩みを抱える
者や子どもからの相談について、SNS等を活用した
相談窓口の開設・運用を進める。
・保護者が訪問支援(乳児全戸訪問事業や養育支援訪
問事業等)に拒否的である場合等に、訪問と併せて
子育てに役立つプレゼントを配布するなどにより、
保護者が支援を受け入れやすくする取組を進める。
国においては、こうした取組を行う市町村を支援す
る。
・引き続き、全国の法務局・地方法務局において、電
話相談窓口「子どもの人権110番」、小中学生を対
象とした「子どもの人権SOSミニレター」やインタ
ーネット相談窓口「子どもの人権SOS-eメール」を
始めとする人権相談等を、対象者本人のみならず、
その兄弟姉妹等の近親者に対する児童虐待事案等を
発見するための手段としても活用する。
また、人権擁護委員は、引き続き、地域の人権啓発
活動を通じて、同種事案を十分意識して情報収集に
努める。
さらに、これらの相談窓口の更なる周知・広報を行
うとともに、相談窓口が子どもにとって使いやすい
ものとなるよう、その更なる改善を図る。
⑥学校等における虐待等に関する相談体制の強化
・スクールカウンセラーを活用した教育相談体制を充
実し、すべての公立小中学校への配置を推進する。
・SNSや24時間子供SOSダイヤルを活用した虐待等に
関する児童生徒等からの相談体制の教育委員会にお
ける構築を支援する。
⑦法務省年支援センター(少年鑑別所)における非行
のある子どもやその保護者等への対応の充実強化
・少年鑑別所において、「法務少年支援センター」と
して、少年や保護者などの個人からの相談に応じて
おり、同センターにおいて、関係機関と連携し、児
童虐待事案等の発見に努める。さらに、子どもの飛
行や問題行動等に悩む保護者に対して、心理教育プ
ログラムの実施等により、虐待の未然防止に向けた
体制強化を図る。
⑧DVの特性や子どもへの影響等に係る啓発活動の推進
・女性に対する暴力をなくす運動の機会に、予防啓発
に加え、DVの特性や子どもへの影響を周知するとと
もに、被害の早期発見・早期介入に向けて医療機関
への被害の通報を促す等、国民の意識向上のための
啓発活動の推進を図る。
⑨子どもの死因究明に関する検討
―(略)―
⑩障害のある子どもとその保護者への支援の強化
・虐待のリスク要因の一つとされる知的障害や発達障
害等のある子ども(その疑いのある子どもを含む)
のいる家庭に早期にアプローチし、適切な支援につ
なげる必要がある。このため、乳幼児健診等から児
童発達支援センター等での相談支援を経て、専門医
療機関への早期受診や適切な障害福祉サービスの利
用につながるよう、自治体の体制整備を促進する。
・また、保護者に対するペアレントプログラム、ペア
レントトレーニングや巡回支援専門員の整備を行い、
障害のある子どもの保護者の子育てに対する不安を
軽減し、虐待の未然防止を図る。
(参考:NSK教採通信)