上手な書き方とは!?『志願書・自己PR編』
-2017.3.3-
■早まる日程を確認する!
出願時の書類は事務的なものではなく、全てが面接試験のための重要な資料であり、最終的には合格者を決定するための大きな要素の一つと言えます。提出書類すべてが試験科目の一つと考えて、慎重に揃えて提出しなければなりません。その前にはまず最初にやるべきことは、出願期間の確認です。ブロック毎に統一されていた一次試験は、最近独自スケジュールで実施する自治体が少しずつ増えてきました。数年前から新潟県や岡山県などは近隣の自治体と異な
る日程で行っていますが、2016年は近畿地方の日程が大きく変更され、全体的にも教員採用試験のスケジュールは早くなっています。そのため、募集要項の配布も、志願書の受付期間も早まっています。日程を確認し、絶対に間違いのないようにしましょう。
3月中に募集要項の配布を開始した自治体もあり、まず気を付けたいのは、願書の受付期間です。郵送による出願期間と持参やネット(電子申請)による期間が異なる場合も多くあります。特にネットの場合の方が締め切りが早い場合が多いので、絶対に間違えないようにしましょう。ゴールデンウィーク明けにはもう締切となる自治体もあり、何度か教員試験に挑戦している人ほど、受付期間を間違わないように確認しておきましょう。ほとんどの自治体がサイト
上で日程を始めとして詳細情報を掲載しているので、時々チェックしましょう。突然今年の変更点などが掲載されることもあります。募集要項等もダウンロードできる場合がほとんどなので、この時期は毎日確認する必要があります。
■出願方法のチェック!
募集要項を入手したら、すぐに確認すべき重要なことは、出願期間とともに出願方法の確認です。自治体によっても大きく異なり、同じ自治体でも年度によって大きく変更されることもあります。前年に続き受験する人も、細かい部分まで確認しましょう。最近は変更も多く、変更点は早めに教育委員会のサイトで公表している場合が多くあります。持参・郵送・電子申請など、自治体によっては原則一つの方法しか認めていない場合や、募集枠によって異なる場合
もあり、それが変更されることもあります。
■提出書類は間違えない!
次に確認すべき事は提出書類です。これも自治体によっても大きく異なり、年度によって変更されることもあります。一般的には提出書類の主なものには次のようなものがあります。
・志願書
・免許状、授与証明書のコピー
・成績証明書
・卒業、見込み、証明書
・人物証明書
・自己アピール文(自己PR文)
主要なものは以上ですが、志願書だけが必要な自治体もあれば、これら全てが出願時に必要な場合もあります。また、出願時と一次試験時、二次試験時と数回に分けて提出する場合もあります。受験予定県の募集要項が公表されたらただちに確認しておきましょう。
証明書の類は事務的に揃えればいいものではありますが、志願書自体や自己アピール文などは書き方や各内容によって、その後の試験に大きく影響することになります。たとえ志願書だけを提出するような場合でも、志願票の記入欄に「志望理由」や「教育に生かせるこれまでの活動」などを書かなければならない場合は、自己アピール文などと全く同じになります。何度も書いてみて、自分なりに満足の出来るものを提出するように準備しておきたいところです。
また、特別枠での出願は、細心の注意が必要です。一般受験とは提出書類が異なり、その枠によってもかなり違いがあるので、しっかり確認する必要があります。
■志願書・自己アピール
電子申請が増えてはいますが、事務的に記入できる志願書は少なくなってきています。志望理由だけではなく、どんな教師になりたいか、趣味・特技、前職の退職理由などを書く欄まで登場してきています。どのように書けば良い印象になるか、自己PRと言っても、一体何を書いたらいいのかわからない人も多いと思います。特に実際に書こうとすると、志望理由などの欄があまりに小さく、どのくらいの大きさの字で、何行くらいにまとめればいいか悩む人も少な
くありません。
意外と人物評価に占める志願書の印象の割合は大きいです。試験官にとって、はじめて受験生と接触する場面であり、その印象は後まで影響してしまいます。読みやすい丁寧な字で簡潔に書いてあれば、それなりの性格だろうと期待し、汚い字で、しかも意味の分かりにくいことが書いてあれば、最初から期待されず、面接でもあまり質問されずに終わってしまうこともあります。
教員試験では、筆記試験だけではなく、論文・面接・討論・実技・模擬授業・スピーチなど、いくつもの試験科目の結果から総合的に教師としての適性を判断し、合格者を決めています。ペーパー試験だけで高得点を取っても、それだけで採用できるわけではなく、人柄がいいだけでも採用されません。専門知識もあり、一般的教養も豊富で、指導力もあり、協調性もあり、豊かな心を持っているなど、総合的にある一定水準以上でなくてはなりません。
提出書類の内容もそれらを判断する大きな材料であることを忘れてはいけません。特に採用者側から見れば志願票や自己紹介書などが受験生の第一印象となります。ここで差をつけられないようにしましょう。
■志願書の書き方の原則
▼真実を正直に書く
志願書の前半は、いわゆる履歴書の内容です。事務的に書くことがほとんどで、この場合は真実をそのまま書かなければなりません。経歴詐称はもちろんタブーです。部活動・ボランティア活動や実績も、正直に書かなければなりません。ただ、書きたい実績がたくさんあり、小さい枠に、小さい字でびっしりと書く人もいますが、やはり極端な書き方は、むしろマイナスイメージになるので気を付けたいところです。
▼枠の大きさを考えて書く
当然ですが、志願票のそれぞれの枠からはみ出して書いたり、枠の半分くらいしか書かなかったり、枠内には収まっているが読みにくいほど小さい文字の場合など、あきらかにマイナスとなります。ところが、このような志願票は意外と多いです。他の受験生の志願票と比較することがあまり出来ないので、どうしても自分勝手な基準となってしまいます。簡潔にまとめ、なおかつわかりやすくなければなりません。わかりやすく、上手にまとめる能力が評価されて
いるのです。
■何故、自己アピールを書くのか、考えよう
志願書とは別に、所定の用紙に自己アピール文などを書いて提出しなければならない場合もあります。負担に感じますが、面接する前から自己PR文を提出できるということは、自分のアピールポイントを見てもらう絶好の機会です。大体、志願書にアピールポイントを書く欄があったり、自己PR文を提出するのは、何故なのでしょう。
面接官は面接試験などでより多くの判断材料を受験生から引き出すように工夫しますが、とにかく時間的な制約があり、聞ける量は限界があります。そのために自己PR文等の提出を求めているのです。試験官が事前にこれを読むことで予め受験生について、ある程度の予備知識を持って会うことができ、その上で本当に聞きたいことを事前に準備できるということで、面接の効率を大きく上げているのです。受験生にとっても面接試験だけでは時間に制約もあり、本当に見てもらいたい自分のパーソナリティを表現出来ずに、聞いてほしいことも聞いてもらえずに終わってしまうこともめずらしくはありません。いくらアピールしたくても、聞かれていないことを答えるわけにはいきません。聞かれたいことを質問される保証もありません。
そこでモノを言うのが自己PR文などの提出書類です。面接試験は「自分の土俵に引き込む」ことが成功のポイントですが、その最大の武器が、これら自己PR文や自己紹介書、身上書です。本当に見てもらいたい自分の部分をしっかり宣伝する数少ないチャンスだと考えておきましょう。
■ポイントは「意欲」と「個性」そして「社会性」
まず「PRせよ」と言われる以上、遠慮する必要はありません。自分の長所をクローズアップすればいいのです。しかし、バランスを考えてか、長所と短所を両方書く人もいます。「PRせよ」と言われて短所を書く必要は全くありません。自分で一方的にPRできる数少ない機会なので、徹底的に自分の宣伝をするべきです。しかし、慎重に考えるべきなのは、「何が長所なのか」ということです。あくまで、自分の性格がどのように教師に向いているのか、いい先生に
なりうる要素なのか、また自分のどの経験が教職に役に立つのか、じっくり分析する必要があります。アピールするものがポイントからズレていれば逆効果です。やはり効果的なのは、教職に対する「意欲」を上手に表現することです。しつこくなく、でもしっかりと、ポイントをまとめ、自分を表現する。その表現力がここで評価されるのです。
次に必要なのは、やはり「個性」です。趣味として読書や音楽鑑賞、スポーツ観戦を取り上げても、あまりに一般的で、興味をそそる内容ではありません。なるべく他人とは違う点、しかも教師としてプラスと考えられる個性をアピールする必要があります。試験官が興味を持って面接試験でいろいろ聞いてくれれば、まさに「自分の土俵に引き込む」ことができます。ただし、これもバランスが大切で、あまり特殊なことを事細かく説明しすぎてしまえば、それは単なるオタクだと思われるだけです。人間性の豊かさが求められているのですから、幅広い経験や対応力をアピールできなければプラスにはなりません。
そして「社会性」も必要になってきます。社会性は、現場の教師に最も欠けている、という指摘すらあります。とかく、不足しがちな「社会性」を十分に備えていると評価されれば、大きな武器となります。
その他に気を付けたいことは、「教育」を意識しながら書くことです。どんなに素晴らしい人間かをアピールしても、教育と無関係では、教師としての適性を評価してはもらえません。自分の特徴が教育現場でどのように役立つかを訴えるのが不可欠です。
■アピール文は「まとめ方」で決まる
『文』である以上、読みやすく、わかりやすく上手にまとまっていることが必要です。アピールしたいことをただ羅列するのでは「アピール文」とは言えません。まず、最もアピールしたいことを中心に、やや詳しく説明し、それ以外にこんな事もアピールしたい、ということを付け加えるくらいでまとめるのがいいでしょう。中心に訴えるのは、最も特殊な経験や、最も感動したこと、最も自分の糧になってものなどがいいです。抽象的な言葉を多用するのも避けたいです。どんなに「積極的」だとしつこく言うよりも、一つの実例が最も説得力があったりするものです。
(参考:NSK教採通信)