『最新教育キーワード』面接・論文対策!
-2017.2.1-
▼アクティブ・ラーニング
「思考を活性化する」学習形態を指す。教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。
学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。
発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。
▼インクルーシブ教育システム
人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者とない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において諸初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。
インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要である。小・中学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある「多様な学びの場」を用意しておくことが必要である。
▼義務教育学校
2016年(平成28)年度からスタートする、小学校から中学校までの教育を一貫して行う学校の名称。国でも、市町村などの地方自治体でも、私立でも、いずれも設置できるとされている。各教育委員会などの判断で、既存の小中学校などを義務教育学校にできるようになる。独自の教員免許や学習指導要領は設けられず、小中学校の教員免許や、学習指導要領を活用する。ただし、9年間一貫教育の学校として、現在「6・3制」となっている小学校と中学校の学年の区切りは、学校が柔軟に決めるようになり、「4・3・2制」や「5・4制」などの多様な区切りも可能になる。これによって、子どものつまずきの大きな原因の1つである、「中1ギャップ」の解消が期待される。また、中学校の内容を小学校段階で先取したり、教育内容の実施学年を入れ替えたりすることも可能になる予定。義務教育学校の教師は、原則、小中両方の教員免許をもつことが必要になる。
▼新教科「公共」
文部科学省が2020年実施を目指している新学習指導要領にて、高校の必須科目として設ける案を公表した教科。「歴史総合」なども新科目として設けることとしている。「中央教育審議会」に示したもので、16年度中の答申に盛り込まれる見通し。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを受け、選挙など政治参加について学習する。将来、成人年齢が引き下げられるという意見も踏まえ、社会保障や契約、家族制度、雇用、消費行動といった社会で必要なことを学ぶ。
授業では、討論や模擬投票、模擬裁判、新聞活用などが取り入れられ、法曹界や報道関係者、財界人など多様な分野から講師を招く。生徒が「政治的主体となること」「法的主体になること」「倫理的な主体となること」「地域社会の構成員となること」など8項目を例として示し、これまでの「公民科」だけでなく、各教科にまたがる内容を含むものとして検討されている。
▼児童虐待
児童虐待は児童の保護者やその周囲の人間などが、児童に対して虐待を加えることで、身体的虐待(殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束するなど)、性的虐待(子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にするなど)、ネグレクト(家に閉じ込める、食事を与えない、
ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かないなど)、心理的虐待(言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)など)の4つに分類できる。児童虐待防止法では、学校及び教職員に対して、児童虐待を早期に発見し、虐待の被害を防止するための適切な対策をと
り、児童生徒の安全を確保する役割が求められている。
▼サービス・ラーニング
教育活動の一環として、一定の期間、地域のニーズ等を踏まえた社会奉仕活動を体験することによって、それまで知識として学んできたことを実際のサービス体験に活かし、また実際のサービス体験から自分の学問的取組や進路について新たな視野を得る教育プログラム。サービス・ラーニングの導入は、①専門教育を通して獲得した専門的な知識・技能の現実社会で実際に活用できる知識・技能
への変化、②将来の職業について考える機会の付与、③自らの社会的役割を意識することによる、市民として必要な資質・能力の向上、などの期待ができる。
▼総合教育会議
首長と教育委員会が、十分な意思疎通を図り、地域の教育課題やあるべき姿を共有して、より一層民意を反映した教育行政を推進するため、首長と教育委員会が協議を行う場として、地方教育行政法の改正に伴い、平成27年(2015)4月から各自治体に設置が義務づけられた合議体。首長と教育委員会により構成され、地域における教育行政の指針となる大網を策定する。
▼チーム学校
外部の専門家や講師らを小中高校に入れて「チーム」で子どもたちを見ていく制度。スクールカウンセラーのほか、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員、ICT(情報通信技術)支援員、就職支援コーディネーターらも含まれる。国の新年度予算案に費用が盛り込まれている。文部科学相から諮問を受け、中教審で検討してきたもの。管理職(校長・副校長・教頭)の資質・能力向上や、「中間管理職」ともいうべき主幹教諭制度の充実、事務職員の役割発揮など、従来の教職員にがんばってもらうことはもとより、心理の専門家であるスクールカウンセラー(SC)や、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカー(SSW)を巡回ではなく学校に常置する職にすることを目指すとともに、部活動の指導や引率を顧問教諭の同行なしに一人で行える「部活動支援員」(仮称)を新設
することも答申では提言している。
▼フリースクール
何らかの理由から学校に行くことができない、行かない、行きたくても行けない、という子どもたちが、小学校・中学校・高校の代わりに過ごす場所で、不登校やひきこもりをはじめ、軽度の発達障害、身体障害、知的障害などの事情を抱えるたくさんの子どもたちを受け入れ、学びの場を提供しているところ。個人経営、NPO法人やボランティア団体などが運営する民間の教育機関になるため、
それぞれの方針や教育理念の違いによって形態もさまざまである。近年は構造改革特区の制度を利用して、私立学校(学校法人)の認可を受けたフリースクールの設立が可能となった。現在、フリースクールは国の制度として位置づけられていないが、フリースクールに通わせても就学義務を果たしたとみなされるために「多様な教育機会確保法案」の成立を超党派の議員連盟は目指している。
(参考:NSK教採通信)