合格論文を書くには!?『論文の書き方』
-2016.10.17-
教員試験では筆記試験の問題は基本事項が中心となっています。
そのため論文や面接試験による比重が高くなっており、論文試験が合否をわける1つのポイントになっているといっても過言ではありません。
それでは合格論文を書くにはどうしたらいいのでしょうか。そうでない論文との違いを考えてみましょう。
■論文は作文ではない
論文試験について、各教育委員会が実施する教員採用試験では「小論文」または「論文試験」として実施しており、要項に「作文試験」や「論作文」としている自治体はありません。「論文試験」と「作文試験」では、当然ねらいや評価基準が違います。従って「論作文」という表現では教員試験の論文試験を正しく表現していません。決して「作文試験」ではないことをはっきりと認識しておく必要があります。上手な文を作るだけでは合格点はもらえないのです。
特に最近は、教員試験の論文試験の傾向や形式には大きな変化が見られ、出題テーマの難易度も上がっており、要求される論文の質も高くなっています。試験時間、字数については自治体によって様々となっています。
■論文試験の特徴
論文試験の最近の傾向としては、時事的なテーマが多く、現在教育現場で課題になっていることが取り上げられています。「いじめの問題」「携帯・スマホ等、情報モラルについて」「体罰について」などです。
しかし昨年の出題では「自分の力を発揮できる教育」「共生するための力」「生徒の学習意欲」「子どもの可能性を引き出す教師」などのキーワードも増えており、大きなテーマに戻る傾向もみられます。
最近の傾向としてもう1つ顕著なのは、各自治体の教育目標・現状・課題などを踏まえた上で論述させる問題です。「○○について、本県の現状を踏まえて述べなさい。」などといったものです。
各自治体の調査結果や統計グラフが提示される場合もあります。単に自分の考えをまとめたり、一般論でまとめるだけではなく、受験をする県の現状を正しく認識をしたうえで、教師になってからどう取り組んでいくつもりかを問うものとなります。
このような視点はどの自治体を受験する場合でも必要だと思われます。例え抽象的なテーマでも、普遍的なテーマでも、受験する県の現状に触れながら論じることは、良い評価をもらうコツの1つと言えるでしょう。
■論文試験でも合否の分かれ目
~合格論文の第1条件は、まず文章作成のマナーを守ることです。~
▽誤字・文法の間違▽
これについては特に解説の必要はないと思います。論文の内容以前の問題です。あまりに多い場合には「白紙答案」と限りなく同じです。
▽敬体と常体は混ぜない▽
「です・ます調」の敬体と、「である調」の常体が混在している答案も意外と珍しくありません。これは文章として大きな減点となってしまいます。どちらでも構わないので必ず統一するようにしましょう。
▽問題文(テーマ)を無視しない▽
テーマを無視して全く違うことを書けば当然白紙答案と同じですが、細かい指示に従わない答案も大きな減点となってしまいます。例えば「具体的に論じなさい」という条件に対して具体的ではない論文、「あなたの経験を踏まえて論じなさい」という条件に対して自分の経験に全く触れていない論文などが挙げられます。こういった場合でも問題の条件を無視した答案ということになります。
~合格論文の第2条件は、意外と差がつくポイントです。~
▽小見出しやタイトルは?▽
長い論文の場合、小見出しやタイトルをつけることは読みやすく書く方法の1つかも知れませんが、教員試験の論文は多くても1200字で平均的には800字くらいが多いです。この程度の長さで文章に小見出しを付けると、「レポートの書き方」になってしまいます。決して間違いではないのですが、小見出しを付けずに段落の構成で読みやすく工夫した方が高い評価をもらえると思います。
▽構成は「序論」「本論」「結論」▽
論文の構成は必ず「序論・本論・結論」。「起承転結」ではありません。「起承転結」は随筆や物語の書き方です。論文の場合「転」はなくてもいいのです。
字数制限のある論文では、簡潔にまとめなければ良い論文にはなりません。
▽推敲しないとすぐわかる▽
なかなか推敲の習慣のある人は少ないです。しかし推敲せずに提出された論文は必ずわかってしまいます。主語が2つある文、助詞(て・に・を・は)が間違っている文、そして誤字や脱字も推敲すればほとんど防げるものばかりです。答案を書く時間の最後の5分は必ず推敲する時間にしましょう。
▽あくまで試験の答案である▽
最後まで「試験の答案」であることは忘れないようにしましょう。書いているうちに強い主張になってしまう人や批判ばかりしてしまう人もいます。また、評論家のような書き方をする人もいますが、自分の意見を書く論文である以前に、試験の答案であることを忘れないうにしましょう。
■具体的な対策①
どんなテーマであっても、教師としての問題意識や決意を表現しなければならないですが、前提として、そのテーマに示された事柄について基礎的な知識がなければ正論は書けませんし、説得力ある個性を表現することは不可能です。特に時事的なテーマが出されることも多いため、新しい資料に目を通し、その内容をよく把握した上で引用したり、自分なりの解釈を説明したり出来るようにしておきましょう。
実際に受験生の答案を見ると、このような対策を立てている人は多いようです。しかしあまりにも個性が無く、皆同じような論文になってしまう傾向もあります。中教審の答申や文科省の資料で述べられていることを、まるで自分の意見のように書き立て、最後は「児童・生徒の立場になって一緒に考えられる教師になるよう努力するつもりです。」といった決まり文句のように結ぶ論文が非常に多いです。間違ったことが書かれているわけではないですし、いろいろな資料を勉強してまとめているのでそれなりの評価はもらえますが、多くの人が同じようにまとめているため、個性がなく、印象に残らない論文となってしまいます。
■具体的な対策②
では印象に残るような論文を書くにはどうすればいいのでしょうか。そこでまず、次の順で練習をしてみましょう。
教育について最近話題になっていることやキーワードを正しく理解する際にそれが話題となっている背景も理解するようにしましょう。
例えば「チーム学校」に関すること、「特別の教科 道徳」の指導法について、「アクティブ・ラーニング」などです。できれば受験する自治体の話題・現状・課題もしっかり把握しておきたいところです。次に、それらを自分なりの言葉で説明できるようにすること。そして、それについて自分の考えをまとめることが重要です。字数や形式は気にする必要はありません。このような練習を日頃からやっているかどうかが大きな差となってきます。必ずしも論文の形式で練習する必要はありませんが、最も重要で差がつく練習です。これを日頃からやっている前提で、次に実践的な論文を書く練習を計画的に進めていきたいです。
書く練習を進めるときに、わかりやすい文章表現になっているか、段落構成がしっかり組み立てられているか(序論・本論・結論)、言いたいことが伝えられているか、教職への決意が表現されているかなどを自己チェックしてみましょう。
【参考:NSK教採通信】