絶対にはずせない『いじめ関連問題』
-2016.1.28-
『いじめ防止対策推進法』が平成25年6月に成立してから、教員採用試験でも多く出題されるようになりました。とはいえ、出題の内容はこの法律からだけではありません。そして、悲しいことにいじめ問題はなかなか解決されません。そのため、今後も多く出題されることが予測できます。文科省がやり直した「いじめ調査」などはどこをどのように覚えておけばよいのか確認しておきましょう!
★『いじめ防止対策推進法』がメイン!
いじめについての出題は、教職教養だけではなく、論文試験や面接試験などでさまざまな形で出題されており、ほとんどの自治体で何らかの形で出題されています。
出題の内容としては、『いじめ防止対策推進法』、『いじめ防止等のための基本的な方針』、『問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』、その他の資料などから出題されたりとさまざまです。ですが、『いじめ防止対策推進法』のが出題数の割合としては圧倒的に多くなっています。『いじめ対策推進法』は2013年6月に成立し、9月に施行されています。今年の教員採用試験は法律が施行されてから2度目の試験です。初年度は、各自治体とも様子見といった感じでしたが、今年は本格的に出題されました。
★『第2条』の出題が多数!
『いじめ防止対策推進法』の条文別に出題数を集計してみました。出題数は以下のようになっています。
1位:『第2条』(定義)
2位:『第8条』(学校及び学校の教職員の責務)
3位:『第3条』(基本理念)
4位:『第15条』(学校におけるいじめの防止)
5位:『第22条』(学校におけるいじめの防止等の対策のための組織)
1位~5位の出題数の差はあまり大きくなく、上記以外にも『1条』や『23条』、『28条』なども多く出題されていました。1条~4条はいじめについての基本事項です。今後も基本事項を中心に少しずつ出題範囲が広がっていくと思われます。
★いじめ関連で出題される資料は?
『いじめ防止対策推進法』は施行されたばかりの法律です。そのために出題が集中していますが、今後はそれ以外の資料からの出題も増えてくると思われます。その中心となるのは『いじめの防止等のための基本的な方針』でしょう。この資料は、『いじめ防止対策推進法』11条1項の規定に基づいて文部科学大臣がいじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するために策定されたもの。他にも、各自治体が策定している『基本的な方針』なども出題されており、『ネット上のいじめに関する対応マニュアル』や『いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針~子どもの「命」を守るために~』などの資料も出題されています。
★『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』にも注意!
『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』は文部科学省が、児童生徒の問題行動等について、今後の生徒指導施策推進の参考とするため、表記調査を実施し、調査結果をまとめるもので、毎年調査結果を公表しています。調査の項目は「いじめ」のほか、「暴力行為」「出席停止」「不登校」「自殺」などです。26年度については、文科省は調査結果を9月16日に公表しています。ですが、その中の「いじめ」調査については、岩手県の自殺事件で、生徒がアンケートでいじめについて訴えていたにも拘わらず学校が認知していなかったことを踏まえて、文科省が調査のやり直しを求めました。その結果を10月27日に公表しました。ですが、この結果には史右傾ミスがあり、新たに11月4日に訂正を発表しています。
26年度は、二転三転してしまい話題にもなりましたが、この調査結果は、例年出題されているので今年はさらに出題が増えると思われます。他の資料については、選択補充問題が多いので、主旨を理解していれば正解できるものが多いですが、この調査結果については数字的な推移などを把握できているかどうかを問う問題が多いです。自分なりに資料の意味するところを理解しておきましょう。
★今年の試験に向けて!
『いじめ防止対策推進法』の対策!これが中心になるでしょう。ですが、教員採用試験における教育法規の出題は、まず条文をそのまま覚えておくことで正解できるものばかりです。頻出条文の暗記が最も近道でしたが、「いじめ」に関する出題は、普通の法規の問題とは違った形式での出題が多くなります。内容をきちんと把握しておかなければ正解できない問題も多く、単に条文を丸暗記していてもすぐに正解できる問題ではありません。
いじめの定義およびいじめの防止のための基本方針や、基本的施策について、知識が整理された上で理解できているかどうかを問う問題が増加していくことが予測されます。
対策としては、まず、第2条の「定義」については完璧に覚えておく必要があります。次に予想されるのが第3章「基本的施策」からの出題です。第15条から21条までがこれにあたります。いじめの早期発見、ネットのいじめ対策などについて規定されている部分です。これについては他の法規の問題のように穴埋め問題ではなく、正誤問題の形式で出題されるでしょう。
次に「いじめの防止等のための基本的な方針」をはじめとして需要な資料に目を通して、内容を理解しておかなければなりません。特に各自治体がそれぞれに策定している「基本方針」などの出題が増えることが予想されます。最近、いじめに関する事件があった自治体は、出題されやすいので気をつけましょう。いじめについての出題は、筆記試験だけではなく面接や論文でも聞かれることもあります。特にここ数年はその傾向が顕著になっています。対策するためには、最近の事件についての特徴を分析した上で、文部科学省や教育委員会がどのような方針なのかを見ておきましょう。