教育資料問題対策 重要教育資料入門 「接続改革実行プラン」 平成27年1月16日 文部科学大臣決定
-2015.8.20-
教育資料問題対策 重要教育資料入門
高大接続改革実行プラン 平成27年1月16日 文部科学大臣決定
最近の教職教養では、資料問題の比重が大変高くなっています。特に教育時事の問題では、新しい資料による出題が大変多いです。ですが、資料問題の傾向は変わりつつあります。このコーナーでは、今後出題が予想される重要な資料について紹介・解説していきます。今回は文科省が1月に報告した「高大接続改革実行プラン」。昨年12月の中教審答申を受け、大学入試制度などの具体的な計画をまとめたものです。今次教育改革の大きな柱の1つであり、具体的な改革の内容をチェックしておきましょう。
高大接続改革実行プラン
平成27年1月16日 文部科学大臣決定
Ⅰ 趣旨
「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」(平成26年12月22日中央教育審議会答申。以下「中教審答申」という。)を踏まえ、高大接続改革を着実に実行する観点から、文部科学省として今後取り組むべき重点施策とスケジュールを明示し、体系的かつ集中的な施策展開を図ることを目的として、高大接続改革実行プランを策定する。
II 本プランにおいて重視する視点
国は、高大接続改革に求められる以下に掲げる視点に沿って、本プランに基づく施策を実施する。
1.高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜は相互に密接に関連し合うものであり、新しい時代にふさわしい高大接続の実現のためには一貫した 取組が必要であることから、三者の一体的改革に取り組むこと。
2.特に、義務教育段階の取組の成果を発展させ、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜を通じて、「知識・技能」のみならず、「知識・技能を活用して、自ら課題を発見し、その解決に向けて探究し、成果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力」(以下「思考力・判断力・表現力」という。)や主体性をもって多様な人々と協働する態度(以下「主体性・多様性・協働性」という。)などの真の学力の育成・評価に取り組むこと。
3.大学入学者選抜の改革にあたっては、大学入試センター試験の改革とあわせて、各大学が個別に行う入学者選抜 (以下「個別選抜」という。)の改革を推進すること。
4.中教審答申で提言されているような既存の「公平性」をめぐる意識を改革し、一人ひとりが積み上げてきた多様な力を多様な方法で「公正」に評価し選抜するという理念をはじめ、社会全体で改革の必要性や方向性を共有して取り 組むこと。
5.改革を進めるにあたっては、高校生をはじめとした関係者が見通しを持って対応できるよう配慮すること。
III 具体的な取組施策
1 各大学の個別選抜の改革
【改革の方向性】
多様な背景を持った学生の大学への受入れが促進されるよう、大学入学希望者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価する大学入学者選抜の改革を行う。
特に、各大学の個別選抜において、それぞれの大学の教育カリキュラムや教育改革と連動した入試改革を進めるため、各大学の教育理念やアドミッション・ポリシーに基づき、学力の三要素(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」)を踏まえた多面的・総合的な選抜方法をとることを促進する。このため、新たな大学入学者選抜のルールを構築するとともに、各大学の入試改革に対する評価の推進や支援の充実を図る。
(1)個別選抜改革を推進するための法令改正
各大学の入学者選抜の設計図であるアドミッション・ポリシーの充実や個別選抜改革の取組に対する評価の推進を図る観点から関係法令を改正する。
(2)大学入学者選抜実施要項の見直し
適切なルールの下での入学者選抜全体の多面的・総合的な評価への転換を図るため、一般入試、推薦入試、AO入試の区分を廃止した新たなルールを構築するために、大学入学者選抜実施要項を見直す。
(3)アドミッション・ポリシー の明確化
(1)の法令改正とあわせて、各大学の個別選抜改革の始点であるアドミッション・ポリシーの明確化を支援する取組を推進する。
(4)認証評価等の推進
(1)の法令改正とあわせて、関係機関等と連携して、認証評価等の具体の取組を推進する。
(5)財政措置
中教審答申や本プランの改革の方向性等を踏まえ、各大学における多面的・総合的な評価を重視した個別選抜改革や新たなルール(法令改正、大学入学者選抜実施要項の見直し等)に則った改革を速やかに推進する。
2「高等学校基礎学力テスト(仮称)」及び「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の実施
【改革の方向性】
高等学校教育・大学教育・大学入学者選抜を通じて、学力の三要素をはじめとした、これからの時代に求められる力を育成・評価するために、学力評価のための新テスト(「高等学校基礎学力テスト(仮称)」及び「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」)の在り方について一体的な検討を行うとともに、新テストの一体的実施や新たな評価方法の開発等を行う組織を整備する。
(1)新テストの実施内容
「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については平成31年度から、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」については平成32年度からの実施を目指し、専門家の知見を活用しつつ、一体的な検討を行う。
○新テストに関する専門家会議を立ち上げ、対象となる教科・科目,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」における「教科型」・「合教科・科目型」・「総合型」等の具体的な枠組み、問題の蓄積方法、作問の方法、記述式 問題の導入方法、CBT方式の導入方法、成績表示の具体的な在り方などについて検討を行い、結論を得る。
○専門家会議の検討結果も踏まえ、「教科型」「合教科・科目型」「総合型」の作問イメー ジ(モデル問題)を公表する。
○新テストの出題内容や範囲、プレテストの実施内容やスケジュール、正式実施までのスケジュールを内容とする、新テストの実施方針を取りまとめ、公表する。
○新テストのプレテストを実施し、成果や課題を把握・分析する。
○新テストの具体的な実施内容を取りまとめた「実施大綱」を策定し、公表する。
(2)新テストの実施主体
独立行政法人大学入試センターを改組し、新たな組織とする。この組織は、新テストの実施と方法開発、個別選抜やアドミッション・オフィス強化等の方法開発などの支援、面接や集団討論等を含むテスト方法開発などの支援、調査書の評価等を含む評価に関する方法開発などの支援、専門的人材の育成、入学者選抜や学力評価についての新しい方法の開発、これらの事項に関わる国内外の調査等を目的とする。
○専門家や高校・大学関係者 の意見も踏まえながら、新テストの実施主体の機能や 在り方について検討を行う。
○上記の検討結果も踏まえつつ、新テストの実施主体の 設立に必要な法令改正等を行う。
○上記の取組を経て、プレテストの実施前までに、新テストの実施主体を立ち上げる。
(以下略)