教育心理の最新出題傾向と教育心理用語出題ベスト20!
-2015.5.28更新-
教育心理は、教育原理・教育法規と共に教職教養の中心領域ですが、最近は重要資料の出題などが増えているため脇役となってしまっている感じがします。出題数もやや減少していますが、難易度は上がっています。出題傾向に変化があるため、確実な対策が必要です。教育心理は用語・人名中心の出題が多くなっています。前回の人名と合わせて頻出用語をまず押さえておきましょう。
【平成27年度 教育心理学用語 出題ベスト20】
●1位:ハロー効果●
ある一つのことで成功した者やすぐれている者を、他の点でもすぐれているとみなしたりする傾向。光背効果ともいう。
●2位:ピグマリオン効果●
その人にとって重要な意味を持つ他人がひそかに抱く期待によって、その人の能力に変化が起きる現象。ローゼンザールらは、はじめネズミを用いて、行動研究の際の実験者の期待の影響を明らかにし、これを教師の児童に対する期待の問題へと発展させた。
●3位:発見学習●
問題解決学習と系統学習の短所を補うものとして,ブルーナーによって新しく提唱された現代的な学習法。知識や技術の創造的な探索・発見・発明の過程を,児童・生徒に「再発見」させることをめざす。発見学習のねらいは,教科内容への内的動機づけ(モティベーション)が可能であり,法則や原理の一般的移転は成立するという前提に立って,知識の注入を避け,学習の仕方,思考の仕方を習得できるように教科の基本原理・観念を学習することにある。
●4位:P-Fスタディ●
ローゼンツァイクにより開発された投影法検査。日常的によく経験するような欲求不満場面が描かれた24枚のカードに対する反応から、無意識的な攻撃性の型と方向を明らかにすることを目的とする。
●5位:オペラント条件付け●
スキナーは、ネズミを使ったレバー操作法の実験結果に基づいて、二つの刺激の近接提示によって成立する条件づけをリスポデントな条件づけ、強化によって操作と反応が結合する条件づけをオペラント条件づけと名づけた。プログラム学習は後者の原理により、オペラント行動に対応する刺激を次第に学習目標に近づけて学習を効果的に達成させる方法。
●6位:発達の最近接領域●
ヴィゴツキーが提唱した概念で、子どもが自力で問題解決できる現時点での発達水準と、他者からの援助や協同により解決可能となる、より高度な潜在的発達水準のずれの範囲のこと。
●7位:ソシオメトリー ●
モレノによって創始された、人間の心的相互作用や集団構造などを分析・測定するための理論。人の間の牽引と反発の強度や形態に焦点を合わせて、個人の地位や集団の構造を測定し、その結果をソシオグラムやソシオマトリックスによって表すことができる。ソシオグラムとは、ソシオメトリーの結果を図示したものであり、ソシオメトリックテストはこの理論をもとに、構成員間の心理的・感情的関係性を測定するために開発された方法 。
●8位:合理化●
自分の短所・弱点・失敗などを正当化するために,もっともらしい理由をつけ,当面する不安の増大や自尊心が傷つくことを防ぐ防衛機制。
●9位:欲求発達の階層説●
マスローが設定した、欲求についての一連のヒエラルキーで、より基本的な欲求が満たされるに従って、より上位の欲求が出現して、行動に影響を与えるとしている。(1)生理的欲求→(2)安全の欲求→(3)所属と愛情の欲求
→(4)自尊の欲求→ (5)自己実現の欲求
●10位:マスタリーラーニング●
完全習得学習とも呼ぶ。学習者のほぼ全員が教育内容を完全に習得するための学習理論。教育目標を明確に設定しその下位目標をもつ学習単元が設けられる。単元ごとの学習が済むと、達成度やつまずきを知るために形成的評価が行われ、目標に達しない場合には、補充教材にて学習が行われ完全習得をさせる。
11位:ロールシャッハテスト
12位:内田・クレペリン精神作業検査
13位:Y-G検査(矢田部・ギルフォード性格検査)
14位:忘却曲線(保持曲線)
15位:発達課題
16位:バウム・テスト
17位:試行錯誤説
18位:バズ学習
19位:プログラム学習
20位:葛藤(コンフリクト)
◆教育心理の最新出題傾向
教育心理の領域では、ここ数年はカウンセリングやその技法、心理療法などの出題数が増えてきました。しかし、この傾向も落ち着いてきています。
そして最近出題が減少気味だった精神分析や人格・心理検査が、昨年は復活する兆しが見られました。数年前からすでにやや増えていた「学習」の問題、心理学者についての出題はやはり昨年も比較的出題率は高く、学習方法の出題と関連する問題も増加しています。発達の分野はやや減少する傾向にあるようです。
今年は、学習指導要領の改訂についての出題が増加すると思われます。また、特別支援教育などの出題もここ数年、出題数が多いです。それらの影響で教育心理全体の出題数が増加する理由はありません。教育心理の出題数が減るときは、基本的分野である発達や学習、心理学史の出題を残すという傾向があるため、最近の傾向は参考程度とし、まずは基礎を確実にしておきましょう。
◆各領域の傾向
◎発達の出題傾向
教育心理の中心ではありますが、この分野は出題されるものが限られているため出題数は必ずしも多くはありません。新しい分野などに比べ問題数は多くないですが、重要な分野であるため、基本事項はこれ以上減少するとは考えられません。出題は、発達段階の特徴が中心ですが、発達理論や発達課題などについてのやや難易度の高い問題が増加しています。特にエリクソンやピアジェ、フロイト等の発達理論の内容まで正しく理解しておく必要があります。
◎学習の出題傾向
最近は学習及び学習理論、学習方法に関する問題が少しではありますが、増える傾向にあり、教育心理全体の中では最も出題率が高くなりました。難易度も他の分野よりもの高い問題が多いです。代表的な理論と提唱者をまとめること、学習における諸条件については用語とその意味を正しく理解すること、そして学習指導の方法について種類や内容を把握することなどが必要です。
◎教育評価の出題傾向
教育心理の中でも、「教育評価」についての問題は以前から高い出題率でした。多少の波はありますが、ほぼ教育心理の2割程度の出題率となっていました。しかし、学習評価については、前回の学習指導要領の改訂に合わせ、「学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」が出され、この通知文自体が出題されたために、従来の「教育評価」の問題はやや減少しました。
評価の種類とそれぞれの意味、実際の評価の分類や評価する上での留意点など、基本的知識と実際の評価の仕事についての融合問題は増える傾向にあり、今後も出題されると思われます。
◎教育相談技術の傾向と対策
教育相談については、ここ数年その出題傾向は変化し、カウンセリングの方法・技法に関する出題が多くなってきました。「ソーシャルスキル教育」「アサーショントレーニング」など、最近出題が目立つようになってきた用語などは、これまでの基本事項とは違い、細かい内容まで把握していなければ正解できない問題が多くなっています。この傾向は今後も続くだけでなく、より難易度も高くなっていくものと思われます。また、これまでは用語中心の出題でしたが、次第に生徒指導などとの複合問題も増えつつあります。出題内容が基本事項から、応用へと変化しつつあります。教育相談の意義や位置づけ、教育相談に際しての方法や留意点、さらに教育相談室利用の際の留意点や、担任など教師が教育相談をする具体的方法などより実践的な出題も目に付くようになってきています。
◎心理療法の傾向と対策
教育相談の出題率の上昇に伴い、心理療法の出題も増え、難易度も増しています。これまでは、「心理劇」「箱庭療法」などの用語の知識が要求されていましたが、「行動療法」「遊戯療法」「家族療法」「認知療法」など出題の範囲はかなり広がってきました。今後も基本的には用語中心の出題は変わらないでしょうが、心理療法の種類については名称と考案者の名前、説明文などを正しく結びつけられるくらいまで、それぞれの違いをはっきりと理解しておくことが大切です。