試験に出る『教職』人名 〈各〉ベスト10!
-2015.5.22更新-
昨年度の試験で出題された人名を集計、最新の上位各10名をまとめてみました。教職教養で出題される人物は、教育史の問題として出題される人名と教育心理学の問題として出題される人名に分類できる。それぞれの領域で誰が出題されるのか、どのような傾向があるのか、じっくりと見ていきましょう。
■出題される人名と教育史・教育心理の学習法
教職教養で出題される人名は大きく2つに分類できます。教育史の問題で出題される人名と、教育心理で出される人名の2種類です。融合問題もあり、厳密に分類するのは難しいですが、出題の主旨が違うので、学習するときは、はっきりと分類して整理すると理解しやすく、出題者の意図も見えやすいです。
教員試験の教育史の出題は、どの自治体も人物中心です。主要人物に付いて、確実に把握することが求められています。最近2カ年の出題人名の統計結果の上位15名を紹介します。
◆教育史 人名出題ベスト20◆
◆1位 デューイ◆
アメリカ、ミネソタ・ミシガン大 学哲学教授,続いてシカゴ・コロンビア大学哲学・教育哲学教授。ヘーゲル哲学に傾倒したのち,実験主義に変わり,シカゴで妻と実験学校を開く。問題解決学習を重視し、「教育は経験の再構築である。」「なすことによって学ぶ。」を主張。『民主主義と教育』『学校と社会』
◇2位 ペスタロッチ◇
スイスの教育家。ノイーホフで模範農場を,次いで貧民学校を経営したが失敗,以後シュタンツでの孤児院経営。同地で,『隠者の夕暮』,『リーンハルトとゲルトルート』,などを著述。その後ブルグドルフに学園を開き,『ゲルトルートはいかにその子を教えるか』を発表。次いでミュンヘンブーフゼー,イヴェルドンに学園を移し,教育理念・方法の実践につとめた。直観(教授),自発活動,作業と学習の結合などを強調,近代教育の遺産を継承発展させた。
◆3位 フレーベル◆
チューリンゲン地方の牧師の家に生まれ,ペスタロッチ主義者グルーナーによって教育者としての使命を自覚させられた。ペスタロッチのイヴァーダン学園を2度訪ね,その後ベルリン大学で研究。『人間の教育』を公刊,恩物の考案に尽力し,世界初の幼稚園「一般ドイツ幼稚園」を創立,以後幼稚園運動につとめた。
◇4位 ルソー◇
ジュネーブに生まれ,フランスで活躍。近代教育思想の中心的な形成者のひとり。消極教育による現状文化からの脱出とその変革を主張。『エミール』、「自然に帰れ」。
◆5位 ヘルバルト◆
「科学的教育学の創始者」と称され、教育目的を倫理学,教育の方法を心理学から演繹して構築している。教授四段階説、「明瞭―連合系統―方法」『一般教育学』『教育学講義綱要』。ツィラー、ラインらによって継承される。
◇6位 ジョン・ロック◇
イギリスの哲学者。紳士教育論。 白紙説による経験論。「習慣形成論」『教育論(教育に関する一考察)』『人間悟性論』「健全な精神は健全な肉体に宿る」
◆7位 モンテッソーリ◆
医学博士であり、幼児教育者。障害児の治療教育、ローマのスラム街の子ども達の教育で大きな成果を修め、モンテッソーリ教育を確立し、多くの「子どもの家」を設立。
◇8位 コメニウス◇
実学主義を大成。1 7世紀における最大の教育家。直観教授、客観的自然主義、『世界図絵』(客観的自然主義)、『大教授学』
◆9位 パーカースト◆
アメリカ合衆国の教育者。ウィスコンシン州ドルトンの男女共学の高等学校で、モンテッソーリやデューイから着想を得た個別学習と協同によるドルトン・プランを試み、この実践を教育論文にまとめ、紹介した。
◇10位 エレン・ケイ◇
1 9世紀末から2 0世紀初めにかけて活躍したエウェーデンの婦人思想家。1900年の『児童の世紀』は「児童から」の2 0世紀新教育運動の原動力として,日本を含め世界に多大の影響を及ぼした。
◆11位 カント◆
◇12位 デュルケーム◇
◆13位 シュプランガー◆
◇14位 澤柳政太郎◇
◆15位 ナトルプ◆
この15名で教育史の出題の7割近くの問題がカバーできます。必ず説明文や著作物と結びつけられるようにしましょう。そして、 国別・時代別に整理することも重要です。教育心理に関する人名の出題は、心理学史についての出題だけでなく、発達や学習などの各分野での実験や実績、学説などと人名を結び付ける問題等が多いです。そのような傾向はここ数年続いており、出題が集中する人名は、教育史での出題を超えるほどです。教育心理分野の出題上位15名をまとめました。
◆教育心理学 人名出題ベスト15◆
◆1位 スキナー◆
新行動主義の立場から学習強化に関する研究に新局面を開いた。ほとんどの学習はオペラント条件づけにもとづくと考え、プログラム学習,ティーチングマシーンなどに応用された。
◇2位 フロイト◇
精神分析学の創始者。ブロイアーと共同で行った催眠療法の後、自由連想法を中心として、治療法としての精神分析療法を創始。
◆3位 ユング◆
スイスの精神医学者。フロイトから精神分析を学んだが,次第に独自の分析的心理で一般に用いられている内向・外向の概念を初めて用いた。
◇4位 ブルーナー◇
心理学者として、社会心理学、パーソナリティー、知覚に関する研究を行った後、認知論的心理学の知見を科学教育や、教育の現代化運動の中に活用しようとつとめた。ウッヅ・ホール会議を契機として、彼が著した『教育の過程』の中で、発見学習の意義が強調される。
◆5位 エリクソン◆
精神分析を学んだ後、人格発達への文化・社会的影響を重視した発達理論を提唱、「自己同一性 (アイデンティティ)」「モラトリアム」などの概念が注目される。
◇6位 ハヴィガースト◇
自然科学者として,理科教育に関心を持つうちに関心が社会科学に移り,人間の全年齢段階における発達の社会心理学的問題の研究と著述に活躍するようになった。「発達課題」の概念は,そのような背景から生まれた。
◆7位 ピアジェ◆
臨床法によって子どもの思考を分析し、自己中心性、アニミズム、人工論が子どもの思考の中心であることを見出した。また、認識の発生をめぐる研究を行い、その結果として思考の発達段階を提唱している。
◇8位 ソーンダイク◇
問題箱の実験は、心理学における動物実験の最初のものといわれている。教育現象に強い関心を持って、2 0世紀初めに米国で最初の『教育心理学』を著し、アメリカにおける教育心理学の創始者といわれ、また、教育測定運動の父とも呼ばれている。
◆9位 バンデューラー◆
アイオワ大学で学位を得た後,同大付属病院で臨床実験を経験した。行動の形成や変容が,他人の行動の観察などにもよることを重視したいわゆるモデリング説を提唱。社会的学習に関する理論を著している。
◇10位 マズロー◇
旧ソビエト心理学の発展に多大な影響を及ぼした心理学者。人間の精神発達への文化・歴史的な影響、教育と発達との相互関係、思考と言語の関係などについての優れた理論を残している。
◆11位 ヴィゴツキー◆
◇12位 ロジャーズ◇
◆13位 コールバーグ◆
◇14位 クレッチマー◇
◆15位 ブルーム◆
この15名は確実にマスターしておきましょう。
■西洋教育史の出題傾向
西洋教育史は年度により出題数が増減します。また、はっきりと教育史の問題と分類される問題が減り、様々な形での融合問題が多く出題されるようになり、教育方法など、特定の分野についての歴史的問題などが出される傾向も増え、純粋な教育史に関連する問題は減少しているように見えますが、全体的には決して減っているとは言えません。
西洋教育史の問題はほとんどは人物についての問題です。人名と実績を結びつける問題、著書名を結びつける問題、説明文から人名を答える問題などです。まず人名・著書名・キーワードを結びつける学習を確実にした上で、そのキーワードの意味を理解することが重要です。教育史の難易度は上がってきています。単に著書と人名を結びつける問題だけでなく、人物についての業績や考え方、実績や後世への影響などまで理解しておかなければならない問題が増えています。また、国別の教育史の流れなども出題されるようになってきました。近代の教育改革や教育プランについてもまとめておきましょう。
これまでの数年間の教育史は、西高東低の傾向がありました。東日本では減少傾向にあるものの、西日本での出題は少なくありませんでした。しかし、ここ2年の出題を見てみると東日本ではやや出題が増えており、九州地方などではやや減少するという状況が見られました。重要資料が多く出されるときは、その分教育史の出題が減少したりしますが、やはり教師を目指す人にとって、基本的事項としての教育史は確実に押さえておかなければなりません。
■日本教育史の出題
日本教育史については、西洋教育史の約6割の出題率にとどまっているため、出題される人物を集計しても、上位にはランクインしません。しかし、今回は14位に澤柳政太郎が登場しました。これは、古代から近世までの出題に比べ、明治以降の出題が増える傾向にある現れです。近代の教育行政史や教育改革に関する出題は、年表形式の出題が多くなる傾向にあります、それでも日本教育史の基本的な人名・知識は必要であり、近世までの私塾等や、近代の教育実践者は押さえておきましょう。人名では澤柳政太郎だけでなく、上杉憲実や北条実時、緒方洪庵、貝原益軒、吉田松陰、広瀬淡窓、森有礼などは必須人名です。
■教育心理の人名
教育心理の分野での人名の出題は、大きく傾向が変わりました。 詳細については、次回メルマガにて教育心理についての特集で紹介しますが、今回2位のフロイトや3位のユングは前回はランク外でした。つまり、精神分析についての出題が大きく増加したということになります。ただ、バンデューラやハヴィガーストも初のランクインであり、教育心理の分野では、より広く浅く出題される傾向になってきているということであり、確認しておかなければならない人名が増えているということになります。