「資料問題」の出題分析とズバリ出題予想!!
-2015.4.16更新-
最近の試験では、教職教養に多くの資料問題が出題されています。
教育原理の領域では約3分の1、教育時事の出題では70%が資料問題です。
資料問題の正しい対策が、教職教養の分かれ道になると言っても過言ではありません。
資料の性格をよく理解し対策を立てましょう。
昨年の傾向から、今年の出題を予想してみましょう。
◆「資料問題」が多く出題される理由
資料問題と言っても、大きく2つに分類されます。
1つは教育時事として出題される資料で、もう一つはその分野について基本的な考え方や指導法がまとめられているために大変重要な資料となっているものです。
教育時事として出題される場合、特に緊急性を持って出された資料には背景等も分析されていて、今後の指導の指針もまとめられています。
つまり、教師に採用されれば、すぐに対応しなければならない新しい問題についてその要点をまとめたもので、 出題には大変いい材料となってます。
しかし、社会問題として一段落したり、それに関する細かい別の資料等がまとめられることによって、まもなく出題されなくなってしまうものです。
後者は、緊急性のあるテーマではなく、それぞれのテーマについて基本や今後の方向性をまとめたものであるため、出題が安定して続くものです。
例えば、いじめなどの問題が起こった場合、緊急的に対応策などが「通知」という形で出され、少し時間をかけて、今後の対応の方向性をまとめた資料が出されたりします。
◆昨年出題された資料
昨年は、予想通り「第2期教育振興基本計画について」が多くの自治体で出題されました。
しかし、昨年はあまり特定の資料に出題が集中することはなく、比較的新しいいくつもの資料に出題が分散されました。
中央教育審議会の答申類でも、集中するようなものはなく、答申では「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について (平成24年8月)」「今後の青少年の体験活動の推進について(平成25年1月)」「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(平成23年1月)」 などが比較的多く出題され、他には「児童生徒の学習評価の在り方について」の報告(教育課程部会・平成22年3月)や「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」の報告(初等中等教育分科会・平成24年7月)等が引き続き多く出題されました。
中教審以外では一昨年最も多く出題された「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知・平成25年3月)」も昨年も多くの出題がありました。
重要な資料については、何年も続いて多くの自治体で出題されています。
◆今年予想される資料
今年の試験で出題が予想されるものは、中教審の答申が多いです。
次期学習指導要額の改訂に向けて、昨年後半に3つの答申が出されています。
「道徳に係る教育課程の改善等について」、「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」、「子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について」 の3つです。
どれも重要ですが、学習指導要衝の改訂の方向性と合わせて理解しておくことが必要です。
通常は中教審は答申が中心で、重要なものは報告書も出題されることはありますが、諮問文について出題されることはほとんどありませんでした。
しかし、今年は、昨年26年11月20日の諮問「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」が出題される可能性が高いです。
今回の諮問は、学習指導要領の改訂についての諮問ですが、現状の問題点や改訂の背景となるもの、改訂の方向性等が詳しく説明されています。
問題の作成者にとってはとても使いやすい資料と言えるでしょう。
他に昨年も出題されたものでは、「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」や「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育 システム構築の……(報告)」などはそれぞれの分野で大変重要な資料で、今年も出題が予想されます。
いじめについては、昨年は「いじめ防止対策推進法」の公布以来最初の試験だったため、ほとんどの自治体で出題していましたが、「いじめの防止等のための基本的な方針」はほとんど出題されませんでした。
今年はこれらの出題が増えると思われます。
ここ2年間よく出題された 「体罰根絶に向けた取組みの徹底について(通知)」は、今後体罰に関する事件が起きなければ、かなり減少すると思われます。
他には毎年公表されている「児童生徒の問題行動に関する調査結果」や「運動能力・体力調査結果」などはこれまで通りの出題が予想されます。
PISA2012の結果について昨年はあまり出題されませんでしたが、まだこれから出題される可能性があります。
◆ローカル資料に注意!
最近はローカル問題の出題数も増加傾向にあります。
資料問題でもその傾向は顕著で、トピックス2からもわかるように、昨年も多くの自治体で出題されました。
この傾向はもっと強まると思われます。
その多くは自治体別の教育振興基本計画や教育指針、そして人権教育基本方針などです。
いじめ対策についても自治体毎の方針がまとめられており、受験する県が決まったら、必ず目を通しておきましょう。
◆これから発表される資料にも気をつけて!
資料問題は時事問題として出題されることも少なくありません。
その場合は、新しい資料があえて出題されます。
それは、これから出されるような資料です。
これから5月までの間に、学校教育にとって重要な資料が公表された場合は、その資料の主旨をよく理解しておきましょう。