教育法規の出題条文ベスト20!
-2015.3.27更新-
去年の教員採用試験の教育法規の問題から、出題条文の集計結果をまとめてみました。
ベスト10には、例年の出題上位の条文が並ぶことになりましたが、そこには教育法規の出題の変化が始まったことが見て取れます。
■変わり始めた法規の出題傾向
条文別の集計をまとめた結果が、下の通りです。
【2016年度 ◆教育法規◆出題条文ベスト20】
◆1位◆ 学校教育法 11条
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。
ただし、体罰を加えることはできない。
◆2位◆ 教育基本法 4条
すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
◆3位◆ 地方公務員法 35条
職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
◆4位◆ 教育基本法法1条
教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
◆5位◆ いじめ防止対策推進法 2条
この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、 当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
2 この法律において「学校」とは、学校教育法第一条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を 除く。)をいう。
3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。
◆6位◆ いじめ防止対策推進法1条
この法律は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体等の責務を明らかにし、並びにいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定について定めるとともに、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。
◆7位◆ 地方公務員法 34条
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
◆8位◆ いじめ防止対策推進法15条
学校の設置者及びその設置する学校は、児童等の豊かな情操と道徳心を培い、心の通う対人交流の能力の素地を養うことがいじめの防止に資することを踏まえ、全ての教育活動を通じた道徳教育及び体験活動等の充実を図らなければならない。
2 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校におけるいじめを防止するため、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民その他の関係者との連携を図りつつ、いじめの防止に資する活動であって当該学校に在籍する児童等が自主的に行うものに対する支援、当該学校に在籍する児童等及びその保護者並びに当該学校の教職員に対するいじめを防止することの重要性に関する理解を深めるための啓発その他必要な措置を講ずるものとする。
◆9位◆ 教育基本法 2条
教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、 職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社 会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
四 生命を尊び、自然を大切にし、 環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
◆10位◆ 教育基本法 6条
法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
2 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。
この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。
◆11位◆ 憲法26条
◆12位◆ 教育公務員特例法22条
◆13位◆ 地方公務員法32条
◆14位◆ 教育基本法9条
◆15位◆ 教育基本法5条
◆16位◆ 地方公務員法30莱
◆17位◆ 教育公務員特例法21条
◆18位◆ 児童虐待防止法5条
◆19位◆ 学校教育法19条
◆20位◆ 教育基本法10条
条文の1位から10位は例年ベストテンに入るような条文がランクしたように見えます。
ただし、去年の順位の変動をみると、教育法規全体の出題傾向の変化の始まりが感じられます。
1位の「学校教育法11条」は3年連続のトップで、体罰の問題が少なくならない限り、出題が減らない条文です。
しかし、変化も見え始めています。
これまでは、 教職員の服務や研修などについての出題が多くあり、一昨年は上位10位に「地方公務員法」「教育公務員特例法」あわせて5つの条文が入っていましたが、昨年は2つしか入りませんでした。
逆に一昨年2つしか入っていなかった「教育基本法」は去年4つランクインしています。
去年の教育法規の特徴は教育基本法の出題が増えたということ、そして教職員の規定に関する出題が減少したことです。
また、特別支援教育や人権関連の条文の出題が増えたことも大きな特徴の一つです。
「教育基本法」の増加は基礎・基本の重視ということです。
あまり細かい条文を出題するよりは、基本的な条文を確実に理解しているかどうかを問う問題が中心になっています。
逆に特別支援教育や人権教育 関連が増えたのは、単に法規の知識、教育原理の知識として問われていたものが、1つの方向からだけでなく出題されるようになったと言うことです。
その教育の考え方、実際の問題点、法律での規程、そして実践上の留意点などが総合的・有機的に生きた知識となっているか問われるようになってきたと考えていいでしょう。
この傾向は今後ますます増えてくると思われます。
条文だけを暗記して高得点が取れる試験ではなくなるように出題者も工夫しています。
法規だけでなく使える知識にしておく必要があるようです。