教育資料問題対策 重要教育資料入門【今後の英語教育の改善・充実方策について 報告】
-2015.2.19更新-
最近の教職教養では、資料問題の比重が大変高くなっています。
特に教育時事の問題では、新しい資料による出題が多いです。
しかし、資料問題の傾向は変わりつつあります。
教育資料問題対策では、今後出題が予想される重要な資料について紹介・解説していきます。
今回は文科省有識者会議報告「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告」を紹介します。
英語教育改革に向けた5つの提言を中心に示したもので、今後の中教審総会で諮問される予定です。
今後の英語教育の改善・充実方策について 報告
~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~
平成26年9月26日
英語教育の在り方に関する有識者会議
英語教育改革の背景
○グローバル化の進展の中で、国際共通語である英語力の向上は日本の将来にとって極めて重要である。
アジアの中でトップクラスの英語力を目指すべき。
今後の英語教育改革においては、その基礎的・基本的な知識・技能とそれらを活用して主体的に課題を解決するために必要な思考力・判断力・ 表現力等の育成は重要な課題。
○我が国の英語教育では、現行の学習指導要衝を受けた進展も見られるが、特にコミュニケーション能力の育成について改善を加速化すべき課題も多い。
東京オリンピック・パラリンピックを迎える2020(平成32)年を見据え、小・ 中・高等学校を通じた新たな英語教育改革を順次実施できるよう検討を進める。
並行して、これに向けた準備期間の取組や、先取りした改革を進める。
2 必要な改革について
◆改革1. 国が示す教育目標・内容の改善
○学習指導要嶺では、小・中・高等学校を通して
1.各学校段階の学びを円滑に接続させる、2.「英語を使って何ができるようになるか」という観点から一貫した教育目標(4技能に係る具体的な指標の形式の目標を含む)を示す(資料 参照)。(具体的な学習到達目標は各学校が設定する)。
○ 高等学校卒業時に、生涯にわたり4技能を積極的に使えるようになる英語力を身に付けることを目指す。
あわせて、生徒の英語力の目標を設定し、調査による把握・分析を行い、きめ細かな指導改善・充実、生徒の学習意欲の向上につなげる。
これまでに設定されている英語力の目標(中学校卒業段階:英検3級程度以上、高等学校卒業段階:英検準2級程度~2級程度以上を達成した中高生の割合50%)だけでなく、高校生の特性・進路等に応じて、高校卒業段階で、例えば英検2級から準1級、TOEFLiBT60点前後以上等を設定し、生徒の多様な英語力の把握・分析・ 改善を行うことが必要。
1‥小学校:中学年から外国語活動を開始し、音声に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う。
高学年では身近なことについて基本的な表現によって「聞く」「話す」に加え、積極的に「読む」「書く」の態度の育成を含めたコミュニケーション能力の基礎を養う。
そのため、学習に系統性を持たせるため教科として行うことが適当。
小学校の外国語教育に係る授業時数や位置付けなどは、今後、教育課程全体の議論の中で更に専門的に検討。
2‥中学校:身近な話題についての理解や表現、簡単な情報交換ができるコミュニケーション能力を養う。
文法訳読に偏ることなく、互いの考えや気持ちを英語で伝え合う学習を重視する。
3‥高等学校:幅広い話題について、発表・討論・交渉など言語活動を豊富に体験し、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を高める。
◆改革2. 学校における指導と評価の改善
○英語学習では、とりわけ話したり善いたりする場面において、失敗をおそれず、積極的に英語を使おうとする態度を育成することが重要。
互いの考えや気持ちを英語で伝え合う言語活動を中心とする授業を行うため、中・高等学校では、生徒の理解の程度に応じて、授業を英語で行うことを基本とする。
○各学校は、学習指導要嶺を踏まえながら、4技能を通じて「英語を使って何ができるようになるか」という観点から学習到達目標 (例:CAN-DO形式)を設定し、指導・評価方法を改善する。
◆改革3. 高等学校・大学の英語力の評価及び入学者選抜の改善
○英語力の評価及び入学者選抜における英語力の測定については、4技能の総合的なコミュニケーション能力が適切に評価されるよう促す。
○各大学等のアドミッション・ポリシーとの整合性を図ることを前提に、入学者選抜に、4技能を測定する資格・検定試験の更なる活用を促進。
そのため、協議会による適切な資格・検定試験の情報提供、指針づくり等が早急に進められるべき。
○「達成度テスト」の具体的な検討を行う際には協議会の取組を参考に英語の資格・検討試験の活用の在り方も含め検討することが必要。
◆改革4. 教科書・教材の充実
○小学校高学年で教科化する場合、学習効果の高いICT活用も含め必要な教材等を開発・検証・活用する。
○教科書を通じて、説明・発表・討論等の言語活動により、思考力・判断力・表現力等が一層育成されるよう教科用図書検定基準の見直しに取り組む。
○国において音声や映像を含めた「デジタル教科書・教材」の導入に向けて検討を進める。
○ICT予算に係る地方財政措置を積極的に活用し、学校の英語授業におけるICT環境を整備。
◆改革5. 学校における指導体制の充実
○地域の大学・外部専門機関との連携による研修等の実施や、地域の指導的立場にある教員が英語教育担当指導主事や外部専門家等とチームを組んで指導に当たることなどにより、地域全体の指導体制を強化。
地域の中心となる英語教育推進リーダー等の養成、定数措置などの支援が必要。
○各学校では、校長のリーダーシップの下で、英語教育の学校全体の取組方針を明確にし、中核教員等を中心とした指導体制の強化に取り組むことが重要。
○小学校の学びを中学校へ円滑に接続させるため、小中連携の効果が期待される相互乗り入れ授業、カリキュラムづくり、指導計画作成などを行う合同研修など実質的な連携促進が必要。
○小学校の中学年では、主に学級担任が外国語指導助手(ALT)等とのティーム・ティーチングも活用しながら指導し、高学年では、学級担任が英語の指導力に関する専門性を高めて指導する、併せて専科指導を行う教員を活用することにより、専門性を一層重視した指導体制を構築。
小学校教員が自信を持って専科指導に当たることが可能となるよう、「免許法認定講習」開設支援等による中学校英語免許状取得を促進。
英語指導に当たる外部人材、中・高等学校英語担当教員等の活用を促進。
○2019(平成31)年度までに、すべての小学校でALTを確保するとともに、生徒が会話、発表、討論等で実際に英語を活用する観点から中・高等学校におけるALTの活用を促進。
○大学の教員養成におけるカリキュラムの開発・改善が必要。
例えば、a‥小学校における英語指導に必要な基本的な英語音声学、英語指導法、ティーム・ティーチングを含む模擬授業、教材研究、小・中連携に対応した演習や事例研究等の充実、
b‥中・高等学校において授業で英語によるコミュニケーション活動を行うために必要な英語音声学、第2言語習得理論等を含めた英語学、4技能を総合的に指導するコミュニケーションの科目の充実等を、 英語力・指導力を充実する観点から改善することが必要。
今後、教員養成の全体の議論の中で検討。
同時に、小学校の専科指導や 中・高等学校の言語活動の高度化に対応した現職教員の研修を確実に実施。