【要チェック】中教審答申 道徳に係る教育課程の改善方策 概要
-2014.12.12更新-
2道徳に係る教育課程の改善方策
(1)道徳の時間を「特別の教科 道徳」(仮称)として位置付ける
○道徳教育の重要性を踏まえ、その改善を図るため、学校教育法施行規則において、新たに「特別の教科」(仮称)という枠組みを設け、道徳の時間を「特別の教科道徳」(仮称)として位置付ける。
○小・中学校の学習指導要領を見直し、現行の「第3章道徳」に 代えて、適切な章立てをもって 「特別の教科道徳」(仮称)についての記述を盛り込む。
○「特別の教科道徳」(仮称)の 目標、内容等については、より体系的・構造的で、「特別の教科道徳」(仮称)が、道徳教育全体の要として効果的に機能するものとなるよう見直す。
(2)目標を明確で理解しやすいものに改善する
○道徳教育も、「特別の教科道徳」 (仮称)も、道徳に係る内面の向上やそれに基づく道徳的実践を求めるものであり、その目標は、最終的には「道徳性」の育成であることを前提としつつ、 各々の役割と関連性を明確にした分かりやすい規定とする。
○道徳教育の目標については、現行の規定を整理し、簡潔な表現に改める。
具体的には、道徳教育の目標は、児童生徒の道徳性を養うことであるという根本を明確にした上で、その育成に当たり、特に留意すべき具体的な事項を併せて示す。
また、小学校、中学校のそれぞれの発達の段階に即した重点の示し方につ いても工夫する。
○「特別の教科道徳」(仮称)の 目標については、例えば、様々な道徳的価値について自分との関わりも含めて理解し、それに基づいて内省し、多角的に考え、判断する能力、道徳的心情、道徳的行為を行うための意欲や態度を育てることなどを通じて、一人一人が生きる上で出会う様々な問題や課題を主体的に解決し、よりよく生きていくための素質・能力を培うこととし示す。
(3)道徳の内容をより発達の段階を踏まえた体系的なものに改善する
○道徳の内容は、「特別の教科道徳」(仮称)を要として学校の教育活動全体で行う道徳の内容として位置付けた上で、「特別の教科道徳」(仮称)とそれ以外の各教科等において求められる取組の相違が明確になるよう示し方を工夫すること。
○四つの視点の意義を明確にする とともに、その順序等を適切なものに見直すこと。
○内容項目について、いじめの問題への対応をはじめ、児童生徒の発達の段階や実態、児童生徒を取り巻く環境の変化などに照らし必要な改善を行うとともに、キーワードなども活用しつつ、より体系的で効果的な示し方を工夫すること。
○情報モラルや生命倫理などの 現代的課題の扱いを充実すること。
(4)多様で効果的な道徳教育の指導方法へと改善する
○「特別の教科道徳(仮称)」において、目標や指導のねらいに即し、児童生徒の発達の段階を踏まえた上で、対話や討論など言語活動を重視した指導、道徳的習慣や道徳的行為に関する指導や問題解決的な学習を重視した指導などを柔軟に取り入れることが重要であること。
○「特別の教科道徳」(仮称)の 授業における内容項目のより柔軟な扱い方を工夫することや、小学校と中学校の違いを踏まえた指導方法の工夫など、指導の効果を上げるための多様な取組を行う必要があること。
○道徳の指導計画が実質的なものとして機能するよう学習指導要領を改善するとともに、各学校の道徳教育の重点を改めて見直した上で、学校全体として取組を改善する必要があること。
○学校における指導体制の充実及び小・中学校の連携を一層図る必要があること。
○授業公開、また、家庭や地域の人々も参加できる授業の工夫など、家庭や地域との連携の教科を図り、家庭や地域にも開かれた道徳教育を進めることが重要であること。
(5)「特別の教科道徳」(仮称)に検定教科書を導入する
○道徳教育の充実を図るためには、充実した教材が不可欠であり、「特別の教科道徳」(仮称)の特性を踏まえ、教材として具備すべき要件に留意しつつ、民間発行者の創意工夫を生かすとともに、バランスのとれた多様な教科書を認めるという基本的な観点に立ち、中心となる教材として、検定教科書を導入することが適当であること。
○「特別の教科道徳」(仮称)の教科書の著作・編集や検定の実施を念頭に、学習指導要領の記述をこれまでよりも具体的に示すなどの配慮を行うこと。
○道徳教育の特性に鑑み、教科書だけでなく、多様な教材が活用されることが重要であり、国や地方公共団体は、教材の充実のための支援に努める必要があること。
(6)一人一人のよさを伸ばし、 成長を促すための評価を充実する
○道徳教育の充実のためには目標を踏まえ、指導のねらいや内容に照らして、児童生徒一人一人のよさを伸ばし、道徳性に係る成長を促すための適切な評価を行うことが必要であること。
このことは、道徳教育に係る学校や教員の指導改善等にも不可欠であること。
○児童生徒の道徳性の評価については、多面的、継続的に把握し、総合的に評価していく必要があること。
ただし、「特別の教科道徳」(仮頃称)について、数値などによる評価を行うことは不適切であること。
○指導要録について、「特別の教科道徳」(仮称)に関して、その目標に照らして学習状況や成長の様子などを文章で記述するための専用の記録欄を設けることなどの改善を図る必要があること。
また、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の成果として行動面に表れたものを評価することについては、現行の指導要録の「行動の記録」を改善し活用することなども考えられること。