キャリア教育の出題分析と傾向と今後の出題予想!!
キャリア教育については、中央教育審議会が平成23年1月に「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」と題 した答申を発表したのをきっかけに、出題が急増した。
キャリア教育についての出題はすでに数年前から増える傾向にはあったが、この答申で出題傾向も変化し、出題数も増えた。
その後も文科省や国立教育政策研究所からいくつもの資料が出され、出題の範囲も広がってきた。
今後も1つの領域として出題が続くと思われるので何を見ておけばいいか、整理してみよう。
■キャリア教育の出題内容
これまでのキャリア教育の出題を分類すると、(1)中教審答申の空欄補充問題、(2)「キャリア教育」の概念などについての正誤問題、(3)その他の資料による問題、この3つに大別できる。
中教審の答申が発表された年こそ答申の空欄補充問題は決して多くなかったが、次の年は中教審答申からの出題がほとんどとなった。昨年は他の資料からの出題も増えたが、やはりまだ中教審の答申からの出題が最も多かった。
他の資料としては、次のようなものが出題されている。
▽キャリア教育をデザインする「今ある教育活動を生かしたキャリア教育」(2012年8月)生徒指導・進路指導研究センター
▽小・中・高等学校における基礎的・汎用的能力の育成のために「学校の特色を生かして実践するキャリア教育」(2011年11月) ▽学校が社会と協働して一日も早くすべての児童生徒に充実したキャリア教育を行うために(2011年12月・キャリア教育における外部人材活用等に関する調査研究協力者会議)
▽小学校キャリア教育の手引き〈改訂版〉(2011年5月)
▽中学校キャリア教育の手引き(2011年3月)
▽高等学校キャリア教育の手引き(2011年11月)
これらに加え、今年は3月に次の資料も公表された。
▽「キャリア教育・進路指導に関する総合的実態調査」
パンフレットー学習意欲の向上を促すキャリア教育について-
しかし、これらの資料すべての詳細までよく読んで覚えなければならないというわけではない。
なるべく多くの資料に目を通しておきたいが、大体の主旨を理解しておけば、 正解できる基本的な問題が多い。
■答申はどう出題されるか
今後も出題の中心となるのは、平成23年の中教審答申「今後の学 校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」である。
通常の資料問題は、空欄補充がほとんどであるが、この答申の場合、空欄補充だけでなく正誤問題の出題も多い。
これまでに出題されている部分は、 第一章「キャリア教育・職業教育の課題と基本的方向性」、第二章「発達の段階に応じた体系的なキャリア教育の充実方策」、第五章「生涯学習の観点に立ったキャリア形成支援の充実方策」に集中している。
キャリア教育の基本的概念については必須である。
特に今回の答申には、章ごとに概要をまとめた扉かついており、その概要からの出題が最も多い。
■キャリア教育とは何か
「キャリア教育」という言葉が初めて登場したのが平成11年、その後、平成18年に文部科学省から「キャリア教育推進の手引」が公表されてから、教員試験でも「キャリア教育」 が多く出されるようになった。
当初は、キャリア教育の出題は「推進の手引」に集中したと言える。
その中でも、「第1章キャリア教育の意義」の「2 キャリア教育の定義」が最も多く、続いて「3 キャリア教育の意義」というように、当初から「定義」や「意義」といった基本問題が出題されていたが、その傾向はまだ続いていると言える。
平成23年の中教審答申で出題が集中している第一章の概要には「キャリア教育」について次のように説明されている。
「『キャリア教育』とは、一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育』である。」
そして「『職業教育』とは、『一定又は特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育』である。」
「キャリア教育」と「職業教育」の違いが明確に説明されている。
この概念が最も重要であり、教員試験の問題にも出題されている。
■今後の出題予想
今年もキャリア教育についての出題は、中教審答申が最もねらわれると思われる。
そして、その出題内容や形式については、これまでの傾向と大きく変化することはないと思われる。
したがって出題が集中した部分を正しく理解しておくことが最も 重要である。
「最新教育資料集」には答申の最も重要な部分を紹介したので、まず最初に必ず目を通して内容をよく理解してほしい。
しかし、昨年よりも今年、今年よりも来年と出題範囲は広がっていくため、前述した第一章、第二章、第五章に加え、第六章「キャリア教育・職業教育の充実のための様々な連携の在り方」まで見ておきたい。
これも、まず章の概要部分をよく把握した上で、その後で本文を読むようにしたい。
また、中教審答申以外の資料からの出題も増えてきていることから、特に次の資料には目を通しておきたい。
校種別に「小学校キャリア教育の手引き(11年5月)」「中学校キャリア教育の手引き(11年3月)」「高等学校キャリア教育の手引き(11年11月)なども出され、11月12月のキャリア教育に関する報告書「学校が社会と協働して一日も早くすべての児童生徒に充実 したキャリア教育を行うために」などは、すでにいくつも出題もされており、今後も増えそうである。
また、直接答申や資料の抜粋だけではなく、正誤問題などのように「キャリア教育」とは何か、どうあるべきか、教師としてどう指導すべきかなどについての出題の増加も当然予想される。
しかし、この場合でも準備としては、答申などの資料をよく読むことが、最も効果的な対策と言えるだろう。
中教審答申を「キャリア教育」の教科書として位置づけていいだろう。
その上で、国立教育政策研究所の生徒指導・進路指導研究センターから出されている教師用の多くの資料に目を通すこと自体が「キャリア教育」全体の対策となるだろう。
論文などの対策としては、自分がやってみたい実践例なども考えてみるのがいいだろう。
その時にも、今回紹介した資料などを理解すると、評価の高い実践例が考えられるはずである。