絶対覚えたい出題頻度の高い基本条文ベスト30!
昨年の全国の教員試験に出題された条文を集計し、結果をまとめ てみた。
「基礎・基本」が重視される教職教養であるが、教育法規の傾向を見ると、基本的な頻出条文に出題が集中する傾向と、これまであまり出題されなかった条文まで出題が広がる傾向がある。
少しずつ変化してきている出題傾向を見ながら、効率のいい学習法を探っていきたい。
■集中した「学校教育法第11条」
「学校教育法第11条」は、以前から最もよく出題される条文の一つだったが、それでも最近は、少しずつその出題率は下がり始める傾向だった。
ところが昨年度は、ダントツの一位となった。
この条文で規定されているのは、言わずと知れた「体罰の禁止」である。
一昨年から昨年にかけ、体罰に関する事件が大きく報道され、昨年三月には文科省から 「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」 が出された。
教員試験にもこの通知からの出題は大変多く、これと併せて「学校教育法第11条」を出題する自治体も多かった。
そのため、この学校教育法第11条は、例年にも増して多くの出題となった。
また、児童等への懲戒については、更に学校教育法施行規則26条で規定されているため、この条文も、これまでになく多くの出題となった。
■法令別傾向
○地方公務員法
学校教育法は11条に特別に出題が集中したが、法令別に見ると、前頁のグラフでわかるように地方公務員法の出題が最も多かった。地方公務員法は「第6節 服務」に出題が集中している。
第三十条から三十八条がこれにあたり、出題ベストテンの半分の条文がこの部分である。
公務員としての服務規程がいかに出題されるかがわかるだろう。
○学校教育法
学校教育法の出題の特徴は、11条に出題が集中しているが、他は広く多くの条文に出題が分散しいることである。
11条以外に特別集中している条文はない。
どの条文も同様に重要であり、他の法令に比べてかなり多くの条文をチェックしておかなければならない。
◎教育基本法
教育における憲法とも呼ばれる法律が教育基本法であり、出題が多いのは当然と言える。
しかし、全体が比較的万編なく出題されるために、特に集中し、目立つ条文はないが、上位30までに9つの条文がランクインするように、すべての条文をチェックしておくべきだろう。
ただ、7条17条など、ほとんど出題されなくなったものもわずかにある。
○教育公務員特例法
これも、地方公務員法ほどではないが、出題される条文は比較的集中している。
この法律は教員の採用・ 研修・服務などについて規定しているものであり、地方公務員法と合わせて学習しておく必要があるだろ う。
特に出題数が多いのは研修に関する条文であり、21条から25条は細かい部分まで覚えておく必要がある。
■教育法規の出題範囲とは
覚えておきたい条文は全部で250あまりである。
この条文で、全国の問題の75%を占めている。
以前は200条文でほぼ9割を占めていた。
それだけ、出題が幅広くなってきたといえるだろう。
教育法規の出題の全範囲と言えば、500条文を超えるが、まずは250を範囲と考えていいだろう。
出題される形式は、依然として条文からその出典法規名を問うもの、条文の空欄補充が圧倒的に多い。
他には、条文の内容の正しいものや間違っているものを選ぶ正誤問題も出されている。
それ以外の形式はほとんどない。
「児童虐待防止法」などに関しては、他の資料との融合問題や児童虐待の実態などについての出題の中で法律に関する設問があると
いう場合も少なくないが、これは出題の主旨が、子どもの人権に関する問題として出されているもので、基本的な法律知識を問うための出題とは、その主旨が異なるからである。
しかし、どちらにしても条文そのものが出題されることも少なくないのでしっかり覚えておきたい。
■上手な対策
限られた条文に出題が集中しているのだから、条文自体を片っ端からすべて暗記すればいいと思う人も少なくないだろう。
しかし、それは決して効率がいい対策とは言えない。
重要な条文に厳選されて出題される傾向になってきたということは、より重要な法規に比重をかけた学習が求められている、ということである。
まず、より基本的な条文を、完壁にする必要があるだろう。
ベスト30の条文をマスターすれば教育法規の問題は40%は正解できる。
この後、特に頻出度の高い条文を載せているので、まずは、この条文だけを確実に覚えれば半分以上クリアーできる。
自分でいろいろな部分を空欄にして、練習してみよう。
そして出典も答えられるようにしたい。
100を超える条文をマスターし、60~65%くらいまでカバーできるようにしていきたい。
早めに勉強を始めた人は150から200くらいの条文をマスターするのはそんなに難しいことではないだろう。
ただ、単に条文を暗記するまえに、 法規同士の関係を理解しながら見ていく方が、覚えやすいだろう。
まず、 憲法か教育基本法でどのように規定されているかを確認したら、その項目について学校教育法ではどう規定されているか確認する。
次に、学校教育法施行令や学校教育法施行規則でどのように規定されているか、他の法律で同じ項目について規定しているものがあるか確認する。
そうした上で条文を覚えた方が出典法規を間違うことは少なくなる。
1つでも多くの条文をマスターしようと頑張り、300以上の条文を一生懸命覚えてもそれらの条文は出題される確率が非常に低い。それよりもまず基本条文100に絞って、完壁にすることが何よりも大切だ。
基本100条文であればどの自治体でも必ず出題されるものばかりである。
今年も 「教育基本法」と「学校教育法」の 必須条文が中心で出題されることが予想される。
知識をどんどん広げることも大切だが、基本を完全にすることが最も必要だろう。
【絶対覚えたい出題頻度の高い基本条文30】
1位:学校教育法11条
校長及び職員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。
ただし、体罰を加えることはできない。
2位:地方公務員法34条
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
その職を退いた後も、また、同様とする。
3位:地方公務員法32条
職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規定に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
4位:教育公務員特例法22条
教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
2 職員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。
3 教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。
5位:地方公務員法33条
職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
6位:教育公務員特例法21条
教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。
2 教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。
7位:憲法26条
すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
8位:教育基本法4条
すべての国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない、
9位:地方公務員法30条
すべての職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
10位:地方公務員法35条
職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
11位:教育基本法9条
12位:教育基本法2条
13位;教育基本法前文
14位:学校教育法施行規則26条
15位:教育基本法13条
16位:学校保健安全法20条
17位:地方公務員法36条
18位:教育公務員特例法23条
19位:教育基本法1条
20位:教育基本法6条
21位:教育基本法5条
22位:学校教育法施行規則48条
23位:学校保健安全法19条
24位:教育基本法10条
25位:教育公務員特例法22条
26位:日本国憲法13条
27位:学校教育法72条
28位:学校教育法施行規則28条
29位:教育職員免許法12条
30位:教育基本法3条
次点:教育公務員特例法12条