「いじめ」の出題徹底分析!
■いじめに関するこれまでの出題
いじめについては、以前から事件が起こる度に文科省や教育委員会はそれなりの対策を立て、それについて教員試験でも出題されてきた。
特に、平成18年の秋にいじめによる事件が全国的に頻発し、大きな社会の問題となった。
首相直属の教育再生会議も、「いじめ問題への緊急提言」をまとめ、文科省も「いじめの問題への取組の徹底について」を通知し、「いじめの問題への取組についてのチェックポイント」も添えた。またこれまでの「いじめ」の定義も見直し、「児童生徒の問題行動等生徒導上の諸問題に関する調査」(平成18年度間)で新しい「いじめ」の定義を示した。
これまでの教員試験でいじめに関する問題が出題された場合は、この新しい「いじめの定義」と「いじめの問題への取組の徹底について(通知)」が中心であった。
その後平成22年11月に「いじめの実態把握及びいじめ問題への取組の徹底について(通知)」が出され、この2つの通知文が出題のほとんどであった。
ところが平成23年10月に大津市の市立中学二年生が、いじめを苦に自殺した事件が、大変大きな社会問題となり、「いじめ」について国民的な議論がなされ、教員試験にも大きな影響があった。
この事件ではいじめ自体に関することだけでなく、いじめに対する教育委員会や学校の対応が大きな問題点として浮上した。
文部科学省は、いじめに関する実態の把握が重要として「いじめの問題に関する児童生徒の実態把握に係る緊急調査」を行い、その結果を踏まえて平成24年「緊急調査を踏まえた取組の徹底について(通知)」を出した。
今年の試験では、出題がこの「通知」に集中するのではないかと思
れた。
実際にも、ここから多くの問題が出されたが予想されたほどこの資料に集中したわけではなく、以前から出題されているような「いじめ」に関する基本的な考え方や、「いじめ」の定義、「いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針」 (平成24年9月)、「いじめの問題への取組の徹底について(通知)」(平成18年10月)、「学校におけるいじめ 問題に関する基本的認識と取組のポイント」(平成18年10月)、「犯罪行為として取り扱われるべきと認めら
談・通報について(通知)」平成24年11月)等、そして各自治体の「いじめ」対策方針等からと、意外といくつもの資料などに出題が分散された感じがある。
■来年の試験対策としての「いじめ」問題
筆記試験については、これまでも重要な資料が出題の中心であった。
新しい資料を中心に、それぞれの主旨をよく理解しておく必要がある。
来年の試験については、今年6月に公布された「いじめ防止対策推進法」と、10月に決定された「いじめの防止等のための基本的な方針」からの出題が中心になるのは確実である。
今回の「基本的な方針」は、これまで出された資料と異なり、当面の「いじめ防止」に関する根本的な考え方をまとめたものであり、重要度が高いので、さまざまな資料などをチェックする前に、確実に理解しておきたい。
そして、「いじめの問題に関する児童生徒の実態把握に係る緊急調査を踏まえた取組の徹底について (通知)や「いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針」等は重要な資料としてまだ出題される可能性は十分にあり、内容をよく把握しておくことが必要だろう。
■最近の事件の特徴も分析せよ
いじめについての出題は、筆記試験だけではなく面接や論文でも聞かれることが少なくない。
特にここ数年はその傾向が顕著になっている。
そのためには、最近の事件についての特徴を分析した上で、文部科学省や教育委員会がどのような方針なのかを見ておきたい。
左にまとめたものは、ほんの一部であるが、このような事実を自分なりに整理し、場合によっては背景などをもう少し確認し、正しい材料として理解しておきたい。
■自分の考え方をまとめておく
面接や論文で聞かれる場合は、単純な正解のある質問ではなく、自分が教師になったときの対応であるとか、具体的ないじめの事件に対する見方や考え方である。
したがって、 自分なりの考えがまとまっているかどうか、そして、教師として情熱をもって取り組んでいく決意があるかどうかがポイントとなる。
決して事件を他人事として捉えず、自分が担任であれば、どのように指導すべきかを真剣に考えておきたい。
まさに合否の分かれ道はそこにあると言っていいだろう。